(新エネルギー新聞 2019年12月掲載記事を一部編集)
野立て太陽光発電所は、「絶えざる雑草との戦い」と言っても良いだろう。
特に梅雨明け頃から急速に伸びるので注意が必要だ。
主な対策としては次の3つ。
1.生えたら刈る
2.除草剤で枯らしたり、抑制する
3.防草シート等で生やさない
最もシンブルなのが、「1.生えたら刈る」。雑草が生えて悪影響を与え始めたら草刈りする、というもの。エリアや雑草の種類にもよるが、年間2~3回は必要になることが多い。
コストが結構掛かること、ケーブル切断やパネルを傷つける危険性が高いこと、などが主なデメリットだ。
最近の主流は「2.除草剤で枯らしたり、抑制する」という手法だろう。年に2回程度、除草剤を散布することで雑草をコントロールできる。
手間、コストとも1.よりは有利だが、周囲に農地があるなど状況によっては使用できないこともある。
また雑草によって薬剤の種類や散布方法、時期などを適切にコントロールしなければ効果が出にくい。うまく使いこなすには知識の習得が欠かせない。
「3.防草シート等で生やさない」というのは、雑草との戦いを終結させる最善策ではあるが、これまで初期費用が高すぎるとして積極的には使われていない。
クオリティを優先する施工店は活用する傾向が強いが、残念ながら大勢ではなかった。
ただ、ある防草シートメーカーが、「10年保証&7年リース」を打ち出したことで、初期費用が高い、というデメリットは解消できる見通しだ。
例えば、低圧発電所で防草シート敷設に120万円掛かったとしよう。10年保証がついているので10年間雑草対策に追加のコストは不要。ならば1年間12万円で完璧な雑草対策ができる、という訳だ。
しかもメーカーによれば、「弊社の防草シートは15年ぐらい経過しても十分な性能を保持していた、という実績がある」と強気だ。仮に15年使えるなら、年間8万円しか掛からないことになる。
残念ながら防草シートの減価償却期間が7年間なのでリースは7年払い。年間の実際の支払いは17万円程度になる。ただし支払い終了後の8~10年目までの3年間は支払い0円でも保証は効く。また10年以降保証は切れるが、すぐに使えなくなるというものでもあるまい。
初期費用の高さから敬遠されがちだった防草シートだが、売り方の工夫で新しい商品として進化した、と言っても良いだろう。ただし、採用を検査する際には、防草シート自体の品質と敷設施工の品質の両面をしっかりと評価することが肝要だ。折角防草シートを敷設したのに、シートの重ね合わせ部などから雑草が生えてきてその処理に却って手間がかかる、そんな事態は避けたいものだ。
(編集者注:JOMREでは「防草シート選定時に考慮する仕様のポイント」を作成しています)
このように太陽光発電のO&Mを支える要素技術は日進月歩。「昨日の常識は今日の非常識」になることを想定しつつ、常に最新情報に目配せしておきたいところだ。
(新エネルギー新聞 2019年12月掲載記事を一部編集)