(新エネルギー新聞 2016年5月掲載記事を一部編集)
遠隔監視システムを設置していない発電所が多い。特に50kW未満の低圧発電所では、一説に「8割は付いていない」とも言われる。
しかし、遠隔監視システムを付けていない発電所は、『目をつぶって車を運転する』のと同じぐらいリスクが高い。今はたまたま事故を起こしていないが、そのうち大事故を引き起こすことは間違いない。事故を起こしてからでは後の祭り。
遠隔監視システムは、O&Mに絶対必要なもの、と考えるべきだ。
では、遠隔監視システムはどのように選ぶべきだろうか?
さまざまなメーカーが参入しており、ざっと数えただけでも50社程度はあるだろう。あまりに数が多すぎて、どれを選んだら良いかわからず、思考停止になって設置しない、ということも多いのだろう。
ここでは、「車選びは、まずエンジンの排気量で考える」というのと同じレベルで、大枠での選び方を紹介したい。
遠隔監視システムで、エンジンの排気量に相当する指標は、『発電所を何分割して見られるか』という点だ。
基本的には次の順で分割数が多くなる。
『総発電量監視』、『パワコン監視』、『接続箱監視』、『ストリング監視』、『モジュール監視』。
総発電量しか見られないものが分割なし、で、パワコン単位で見られるものが2分割以上、接続箱監視で数十分割以上、ストリング監視で数百分割以上、モジュール監視で数千分割以上、という感じだ(発電所の設計次第で大きく変わる)。
そして、分割数が多くなるほど精度の高い監視ができる。細かく分割して管理するほど、発電ロスが小さな段階でも発見できる。
ただし、細かく分割するほどにコストが上がるので、無駄に高性能を追い求めてもいけない。
ひとつの目安としては、低圧案件なら『パワコン監視』程度、高圧案件なら『接続箱監視』以上のものを使いたいところだ。
しかし、仮に『総発電量だけ』でも、ないよりはマシ。遠隔監視システムは、O&Mに絶対必要なもの、なので思考停止に陥らずに必ず設置して欲しい。
(新エネルギー新聞 2016年5月掲載記事を一部編集)