JOMARE
発電量監視・解析

アラートメールが発報されなかった事例 No.33

アラートメールが発報されなかった事例 No.33

(新エネルギー新聞 2021年8月掲載記事を一部編集)

PCS4台の内、1台停止してもアラート発報されないことも・・・

太陽光発電所の遠隔監視システムにはさまざまな機種があり、こちらの思った通りには動作しないものも少なくない。例えば、PCSが1台停止するような大幅な発電量低下の場合、アラートメールの発報を当然期待するが、残念ながらメールを送らない機種もある。

初期タイプのエコめがねのように、CTセンサーで発電量を計測するタイプで、かつ、ひとつのセンサーで複数のPCSをまとめて計測する場合は1台止まってもアラートメールは発報されない。
またPCS1台につき、ひとつのCTセンサーで計測している機種でも、PCS間の比較をするロジックが組み込まれていないものは、やはり発報されない。

PCSが持っている情報をRS485規格の通信線で取得するタイプの遠隔監視もあるが、こちらはPCS異常を検知してアラート発報することはできるが、パネル側の問題で発電量が低下している時は(PCSは異常ではない)、やはりPCS間の発電量を比較するロジックがなければ発報されない。
自社で使っている遠隔監視が、どのような条件の時にアラートメールを発報し、どんな時には発報しないのか、事前に把握しておいた方が良いだろう。

また、アラートが出ていなくても、時々はPCS間比較で発電状況を把握することをお勧めする。
今回の事例もアラートメールは発報されず、定期的な発電量監視で大きな低下を発見し対処できた。
状況を説明すると、遠隔監視は初期タイプのエコめがねで、1センサーに付き10kWパワコンが2台ずつ、2センサー合計でパワコン4台を計測していた。

エコめがね上での表示は、総発電量とセンサー1、センサー2の発電量を把握できるが、ある時から、センサー2の発電量がセンサー1に対して50%以下となってしまった。その後さらに低下し20%以下まで落ち込むことも。
そこまでなってもアラートメールは発報されず、定期的な発電量監視をするまでは、この大きな発電量低下には誰も気付いていなかった。

発電量のセンサー間比較をしたことで、センサー2のパワコン1台が停止している可能性が疑われ駆付け確認することとなった。
現場でPCSの稼働状態を確認したところ、やはりセンサー2に接続されているPCSの内、1台はエラーが出て停止していた。またもう1台も発電量が低く、正常なPCSと比べると半分以下。

センサー1に接続された2台は、どちらも通常運転で同じ程度発電しており問題なしと判断した。
結論としては、
・センサー2のPCS1台は故障。メーカーに修理依頼。
・センサー2のもう1台は、発電量低下の原因がPCS側にあるのかパネル側なのか調査することになった。
くれぐれも「アラートメールが来てないから問題なし!」と、遠隔監視を盲信しないようにしていただきたい。

(新エネルギー新聞 2021年8月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

発電事業の利益を最大化する新しいO&M

次世代型O&Mについて詳しく
知りたい方はこちら
次世代型O&Mとは

関連記事

他の記事を見る