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発電量監視・解析

PCSごとの発電量監視による落とし穴 No.38

PCSごとの発電量監視による落とし穴 No.38

(新エネルギー新聞 2017年3月掲載記事を一部編集)

PCSごとの発電量に差があったとしても、それだけで故障とは言えない

先日、無料O&Mセミナーを開催した際に参加した発電事業者から、
「販売店にメンテナンスをやってもらっているけど、ちょっと納得いかない」と相談を受けた。PCSごとの発電量が分かる遠隔監視のデータを印刷して持参しており、以下のような相談だった。

「12月のPCSごとのデータを見ると、特定のPCSだけ発電量が30%ぐらい低い。」
「たまたまこのタイミングで年次点検をしてもらったが、『特に異常はない。影の影響だろう』と言われた。」
「しかし、現場を自分で見ると、発電量が低いPCSにつながっているパネルには、影は掛かっていないと思う。」
「別の場所で影が掛かっている部位があり、そこに対して『影対策として木の枝を伐採しましょう』と提案を受けた。」
「それはそれで必要かと思うが、発電量が低いPCSとは関係ない場所なので、そちらの対策は?と聞いたが、『まず伐採してみましょう』とのこと。」
「せめて遠隔監視のデータを確認して、『こういう可能性があるから、こうしましょう』と言ってくれれば良いが、そういう説明がない。」
「なんか納得いかないので、第3者に相談したかった。」

ここでの発電事業者の納得いかないポイントは、

  • 原因がわかっていないのに、関係なさそうな対策を提案してきた
  • 原因を探るために、遠隔監視データを確認・分析するべきでは?


という2点。

その場で、遠隔監視の画面を開いてもらい、12月~2月までの1日ごとの、PCSごとの発電量の推移を確認したところ、結論としてはやはり『影の影響』が一番可能性が高い、となった。

PCSごとの発電量の推移を見ると、12月の冬至に近づくにつれて差が大きくなり、冬至から遠ざかるに連れて、その差は小さくなっており、2月中旬のデータでは、ほぼPCSごとの発電量の差はなくなっていた。

発電事業者は、冬至付近の発電量の差が一番大きいところだけを注視して、その前後との比較をしていなかったため、また、自分で見たときは該当箇所に影がなさそうだったため、「影の影響ではなくどこか故障しているのでは?」と考えるに到ったようだ。

しかし、直近のデータではPCSごとの発電量の差がほとんどないことを指摘して、
「故障があれば勝手には治らない。日の高さが変わったことによる影の影響と考えるのが最も妥当。冬至付近には気付かない影があったのではないか?経過観察で良いだろう。」
と説明したところ納得してくれた。

PCSごとの発電量を相対比較できる遠隔監視は、総発電量しか分からないものに比べ高機能ではあるが、太陽光発電のことを熟知した上でそのデータを活用しなければ、「発電所に問題が発生していても見逃す」、「問題が発生していないのに問題と思い込む」という誤判断をしてしまいがちだ。

発電事業者が日常管理を自分でやることは、特に低圧案件においてはO&Mコストを削減する上で推奨するが、太陽光発電のことを熟知しているプロに相談しながら行った方が良いだろう。

(新エネルギー新聞 2017年3月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

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