(新エネルギー新聞 2016年7月掲載記事を一部編集)
春から夏にかけて、野立て太陽光発電所では、雑草対策で頭が痛いのではないだろうか。刈っても刈っても生えてくる、雑草魂とも言える生命力は、ある意味素晴らしいが、太陽光発電所にとっては悩みの種だ。
雑草が生い茂ってパネルが影になれば、当然、発電量は大幅に下がる。太陽光発電は思いの外、影に弱く、たった1本ひょろっと雑草が伸びて影を落としているだけでも影響は大きい。
また、パネルの裏側にぶつかるように伸びてくるのも問題だ。パネルの裏面は、バックシートでカバーされているが、これはほとんど強度がない。
そのため、硬い雑草がぶつかれば、パネル内のセルにダメージを与えかねない。セルは、卵の殻よりも割れやすいのだ。上部は、強化ガラスでカバーされており、多少ぶつかったぐらいでは平気だが、裏面は弱点と言える。(余談だが、上部の強化ガラス側でも、人が乗るなどしてはいけない。施工中につい乗ってしまう場合があるが、そのパネルのセルは致命的なダメージを受けている可能性が大きい。)
さらに言えば、雑草が生い茂ることで虫が集まり、その虫目当てに小動物が集まり、発電所にも悪さをする。
いずれにしろ、雑草を放置していると悪影響だらけなので、対策が必要になる。
雑草対策には、3つの考え方がある。
1.生やさない絶対に雑草を生やさない!、と、地面全体にコンクリートを打設する方法もあるが、初期コストが上がってしまうため、そこまでやっている発電所は稀だ。また、コンクリートのせいで地面温度が上がり、パネルの発電効率を落とす、という説もある。 防草シートや砂利を敷き詰めて、極力生やさないようにしてあれば、雑草は限定的になるので、比較的対策しやすいが、やはりこれも初期コストの関係から主流ではない。 2.生えたら刈る最もシンプルで最も多用されている雑草対策だろう。とにかく生えたら刈る。エリアや生えている雑草にもよるが、年に3回程度刈り倒してしまえば、どうにかなる。 ただ、刈った草を集めて廃棄するならば、コストは跳ね上がる。 また、発電所の作りによっても、刈りやすいか、刈りにくいかが分かれる。例えば、配線を地中埋設しているか、地表に転がしているかで、刈りやすさが変わり、コストに影響する。 発電所を稼働させている間、ずっと刈り続けることを考えるとコストパフォーマンスは良くない。 3.植生を除草剤でコントロールするコストだけで考えれば、除草剤を上手に使うのが最も安上がりだ。ただし、除草剤の使いこなしに習熟していることが大前提となる。 除草剤にはさまざまな種類がある。 特定の雑草だけに効果があるもの、既に成長している雑草を枯らすもの、生え始めの頃に効くもの、枯らさずに成長を抑制するもの、生えにくい土壌にするもの、などさまざま。 |
どのような土地なのか、どのような草が生えているか、20年間を見越してどうコントロールするか、をきちんと考えた上で、適材適所で除草剤を選び、適切に散布する、というスキルがなければ、近隣に悪影響を及ぼしかねない。
(新エネルギー新聞 2016年7月掲載記事を一部編集)