(新エネルギー新聞 2019年2月掲載記事を一部編集)
JPEAが事務局となり制定した「太陽光発電事業の評価ガイド(2018年6月制定)」を活用して、低圧発電所の購入時のアドバイスを行った。新設発電所を購入予定の事業者より依頼を受け、第三者としてアドバイスを行ったが、「評価ガイド」を使うことで、発電所購入時のさまざまな問題点が明らかになった。
「完工時の検収をするために、現場に同行して一緒に発電所をチェックして欲しい」という依頼で、まさに「評価ガイド」を活用するタイミングと判断した。ただし、低圧発電所なので大きな費用は掛けられない。「評価ガイド」の項目の内、特に現場で確認する必要がある部分に限定して、第三者として「一次評価」を行うこととした。
本来は「法令・権原」のチェックもとても重要だが、そこまでカバーすると費用が大幅に上がってしまう。そこで、販売店にも、自主的に評価ガイドに沿った全項目の一次評価をしてもらうように依頼した。販売・施工していれば「法令・権原」に限らず、一次評価までなら全項目行ってもそれほど難しくない、という想定だ。当然第三者視点でのダブルチェックが望ましいが、コストが掛けられない以上、販売店による自主評価だけでもやらないよりはましだ。
さて、現場で発電所のチェックをするには竣工図書(完成図書とも言う)の入手が必須となる。「一次評価」においては、設計図面通りにできているか、が問われるからだ。「評価ガイド」には竣工図書一覧も記載されており、それを参考に販売店から提出してもらうことは容易に思われたが、実際にはここから躓いてしまった。
販売店が言うには、「発電事業者から竣工図書を求められたことはないし、これまで提出したこともない」とのこと。分譲販売の大手と言っても良いところだが、「架台の構造計算は出せない、基礎杭の載荷試験も無理」という状況だった。とはいえ、竣工図書がなくて困るのは発電事業者なので、なぜそれらが必要なのか、を説明して粘り強く販売店と交渉してもらった。
最終的には必要最低限の書類は入手できたが、販売店の対応は、何を、どのように提出したら良いのか分からない、という感じで、まさかこんなところで大幅に時間が掛かるとは思いもしなかった。
「事業評価ガイド」の活用は、共通の評価軸となるため有効な手法ではあるが、業界標準として定着させるには、発電事業者への啓蒙だけでなく、販売・施工店側の意識もまだまだ足りていない、という現実を直視することが第一歩だろう。
(新エネルギー新聞 2019年2月掲載記事を一部編集)