(新エネルギー新聞 2020年10月掲載記事を一部編集)
ある発電事業者から「遠隔監視データがPCSごとにばらついている。データ解析をして原因を推定してほしい」と相談を受けた。
その発電所の状況を説明すると、
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問題がない発電所ならば、PCS1~4番はほぼ同じ程度発電して、遠隔監視のデータも揃っていて当然。PCS5番は、そもそもパネル枚数が少ないので、それに比例して発電量は低くなる。
まず、いつからばらつきが始まったのか、年ごとの発電量を確認した。すると驚いたことに初年度からまったく同じ傾向でばらついている。
PCS1、2番が良く、3、4番がそれより10%程度低い。
発電所の年間売電金額が仮に200万円だとすると、PCS5台で単純に割ると1台あたり40万円、その2台が10%低いとすると年間8万円程度の売電ロスとなる。3年間で24万円、20年間続いたら160万円の損失だ。(PCS5番はパネル枚数が少ないので厳密な計算ではないが)
発電初年度から現在まで同じ傾向を示しているため、設置後のなんらかが要因とは考えられず、施工店による設計・施工ミスの可能性を指摘し現地での点検を推奨した。
あとは点検して不具合箇所を特定するだけ、と思っていたところ、現地業者からの報告書を見て想定外の原因が浮上した。
現地業者が直接PCSごとの発電量をディスプレイで確認したところ、遠隔監視データのようなばらつきはなく、PCS1~4番の発電量はほぼ揃っていた、というのだ。
同時期の遠隔監視データを確認したところ、やはり以前同様のばらつきを示していた。とすると、遠隔監視データ自体が間違っていた可能性が大きい。
電流値をCTセンサーで取得するタイプの遠隔監視は、そもそもある程度の誤差が出ることは仕方ないが、10%も誤差があっては遠隔監視の意味がない。
CTセンサーの故障か取付け不良か?遠隔監視メーカーと交渉して、まずはCTセンサーを交換することとなった。
O&Mの効率化を図る上で、遠隔監視データの積極的な活用を推奨しているが、データ自体の信頼性の確認が必要な場合もあることは忘れないようにしたい。
(新エネルギー新聞 2020年10月掲載記事を一部編集)