JOMARE
故障対策

太陽光発電所の発電不良の原因を探る No.54

太陽光発電所の発電不良の原因を探る No.54

(新エネルギー新聞 2018年1月掲載記事を一部編集)

発電不良の原因はさまざま考えられる
発電不良の原因はさまざま考えられる

「発電状況が芳しくない。年間でシミュレーション値よりも下回りそう。原因究明と改善策を考えたい」という依頼を請けてスポット点検を実施した。

現場に行く前に遠隔監視システムのデータを解析したところ、7台あるパワコンの内、2台の発電量が大幅に下がっていることが分かった。

パワコンにつながっている太陽光パネルの枚数はどれも一緒だったので、本来はすべて同じ発電量になるのが理想だ。2台だけ発電量が低い原因として、以下の様な想定をした。

  1. 実は、パネルの枚数が少ない
  2. ストリングが断線している
  3. パネルが故障している
  4. パネルが汚れている
  5. パネルに影が掛かる
  6. パワコンが故障している
  7. 遠隔監視システムが故障している
  8. 系統側の問題(出力抑制)

これら想定を、遠隔監視システムのデータ解析と現場の点検結果を総合的に判断することで、どれが本当の原因か絞り込んでいく。

1.は冗談のようだが、実際にあった話しだ。設計図と現場が違ったり、パネルは設置されているがなぜか配線されていなかったり、という実例があるが、今回はこれではなかった。

次に計測器を使って電気的点検を実施し、2.3.も除外できた。

4.は若干パネルの汚れが目立ったが、試しに一部ストリングを洗浄してビフォーアフターの発電量比較をした結果、それほど大きな問題ではないことが分かった。

6.7.8.に関しても、現場でチェックして問題はない。

5.の影については、パネルの一部に大きく掛かっていたので、見た瞬間にこれが原因と思ったが、複合的な原因の場合もある。

他の想定を検証しひとつずつ除外していくことで、原因が影であることを明白にできた。
電柱とフェンスの影は動かせないので発電所の個性と受け入れるか、オプティマイザーの追加導入を検討するか、となる。

雑草の影については、定期的な除草で影響を最小限にすることを推奨した。
このようにしっかりした点検を行い原因を明確にすることで、やるべき対策をはっきりさせることができる。

(新エネルギー新聞 2018年1月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

発電事業の利益を最大化する新しいO&M

次世代型O&Mについて詳しく
知りたい方はこちら
次世代型O&Mとは

関連記事

他の記事を見る