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太陽光発電所のメンテナンスにおいて、単なる「草刈り」や「機器点検」だけでは見抜けない出力低下が多くの発電所で起きていることが、最新のデータ解析で明らかになりました。

2025年7月15日に開催した当協議会主催の ”発電をふやした「事例セミナー」”では、驚きの実態と低コストでの改善事例が報告されています。

【動画の要約】

発電所の7割が「想定以上」に劣化

多くの発電事業者は「自分の発電所は順調だ」と考えがちですが、データは異なる現実を示しています。

大門専務理事によると、2022年度に解析した147の発電所のうち、実に7割において、年率2%という標準的な経年劣化ラインを下回る発電低下が見られたとのことです。

これらの低下要因を正確に把握するために用いられているのが、「sPR(Simplified Performance Ratio)」と呼ばれる指標です。これは発電量を日射量で割り戻して「発電効率」を算出し、さらにその12ヶ月移動平均をとることで、季節変動を取り除いて発電所の真の実力を可視化する手法です。

 雑草だけで13%の損失、草刈りで回復

最も分かりやすい低下要因の一つが「雑草」です。 分析事例によると、雑草の影響を受けていた13の発電所では、平均して13%もの発電低下が起きていました。

適切な時期に草刈りを行った結果、1年後には発電量が10%回復し、残りの低下分は経年劣化の範囲内に収まったといいます。

「たかが影、されど影」であり、適切な管理の有無が収益に直結することが裏付けられた形です。

現地にお金を使わず「データ」で直す

さらに注目すべきは、現地点検では原因が特定できなかった事例です。 長野県を中心にメンテナンスを行う株式会社トライルの平良代表は、稼働からわずか3年で発電量が約20%低下した発電所(長野県佐久市)の事例を紹介しました。

この発電所では、現地点検を行ってもパネルの汚れや雑草、機器の故障といった異常は一切見つかりませんでした。しかし、遠隔監視装置のデータを解析したところ、晴天時にもかかわらず発電グラフがギザギザになり、ピークカットされている現象が確認されました。

原因は「電圧上昇抑制」でした。 周辺の電圧環境の影響で、パワーコンディショナーが発電を抑制してしまっていたのです。同社が電力会社と協議し、設定値を107Vから109Vへ変更したところ、発電量は劇的に改善しました。低下していた時期と比較して、収益は約25%もアップしたそうです。

必要なのは「交換」ではなく「的確な診断」

この事例でかかった費用は、設定変更のための出張費「1万円」のみでした。 もしデータ解析を行わず、安易に「パネルやパワーコンディショナの劣化」と判断して機器交換を行っていれば、莫大な費用がかかっていた上に、問題は解決しなかった可能性があります。

平代表は「何が発電低下の『センターピン(根本原因)』かを探り当て、ピンポイントで直すことができれば、最低コストで最大効率を上げることができる」と語っています。

データに基づいた科学的な「発電管理」が、今後の太陽光発電事業の収益を左右する鍵となりそうです。


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