太陽光発電所の発電量が低下した際、すぐに機器の全交換(リパワリング)を検討するのは早計かもしれません。ある発電所では、適切な原因分析を行うことで、数百万円規模の無駄な出費を防ぐことができました。
【動画の要約】
「リパワリングでしか直せない」という提案への違和感
ある低圧発電所のオーナーから、「2社からパワーコンディショナー(PCS)の全交換(リパワリング)を提案されているが、もっと安くできないか」という相談が持ち込まれました。
提案されていた見積もりは約240万円から250万円で、PCS9台すべてを交換するという内容でした。
この発電所では、稼働から約5年半しか経過していないにもかかわらず、発電量がピーク時から4割も低下していました。年間の劣化率に換算すると約8%という異常な数値であり、通常の劣化ではなく何らかのトラブルが発生していることは明らかでした。しかし、提案を行っていた業者は詳細な原因を特定せず、「リパワリングでしか直せない」と判断していたのです。
真の原因は「ブレーカー容量不足」と「草刈り不足」
詳細な解析と点検を行ったところ、PCS自体は故障しておらず、実際には9台中4台が停止していただけであることが判明しました。さらにデータを分析すると、復旧しても頻繁にブレーカーが落ちる(トリップする)現象を繰り返していたことが分かりました。
原因を突き止めるため調査を進めると、以下の2つの要因が浮き彫りになりました。
1. ブレーカーの容量不足:
最大36A程度の電流が流れる回路に対し、40Aのブレーカーが設置されていました。気温上昇によりブレーカーの許容値が下がり、作動しやすい状態になっていたのです。
2. メンテナンス不足:
2024年に入ってから一度も草刈りが行われておらず、環境悪化が熱ごもりを助長していた可能性があります。
つまり、PCSの寿命ではなく、ブレーカーの設定と管理体制に問題があったのです。
25万円の改修でトラブル解消、年間70万円の損失を回避
この診断に基づき、PCSの交換ではなく、ブレーカーの容量アップ(子ブレーカーを40Aから50Aへ、主幹ブレーカーを250Aから350Aへ変更)という対策を実施しました。その結果、対策後の6月、7月は一度も停止することなく稼働しています。
対策にかかった費用はブレーカー交換工事の約25万円と、月額の管理費のみです。当初提案されていた240万円の工事を実施せずとも、年間約70万円発生していた発電ロスの解消に成功しました。
機器交換の前に「正しい原因分析」が不可欠
リパワリング提案の中には、単に「不具合が直ることによる回復分」を「性能向上によるメリット」と混同させているケースがあります。
今回の事例でも、もし240万円かけてPCSを交換していれば発電量は戻ったでしょうが、それは「マイナスがゼロに戻っただけ」であり、投資対効果としては非常に低いものになっていたはずです。
発電量が低下した際は、すぐに機器交換に踏み切るのではなく、「何が原因で下がっているのか」を正しく分析することが、資産を守るための重要なポイントとなります。


