(新エネルギー新聞 2021年2月掲載記事を一部編集)
今年の4月から低圧太陽光発電所(10kW以上50kW未満)においても『事故報告』が義務化される。これまで高圧・特高発電所のみだったが、低圧発電所の設置件数が約60万件と膨大な上、社会的影響を及ぼす事故も発生しており安全の確保が不可欠と判断された。
報告しなかったり虚偽の報告をした場合には、罰則もあり「三十万円以下の罰金」の可能性がある。制度の趣旨を理解した上で、『事故報告』できる体制を整えておくことが必要になる。
対象となる事故は、
1.感電(人が死亡もしくは入院した場合) 2.電気火災(太陽光パネルなど設備が原因で発生した火災) 3.他者への損害(太陽光パネルの飛散や土砂流出など、他者に損害を与えた場合) 4.設備の破損(太陽光パネルの破損やPCSの焼損など、設備の破損により運転が停止する事故) |
『事故報告』の期限は、事故を知った時から「速報は24時間以内」、「詳報は30日以内」と決められている。
報告の義務を負うのは「設備の所有者又は設置者」で、報告先は「太陽光発電所の設置場所を管轄する産業保安監督部長」となる。
1.2.に該当する事故はあまり聞かないが、3.4.に関しては台風や大雨など自然災害が原因のものも対象となるため、決して珍しい事例ではない。
低圧発電事業者としては、事故が発生してから慌てることのないよう、以下の準備を進めておくと良いだろう。
- 『事故報告』は義務である、という認識をしっかり持ち制度の詳細を把握する
- 事故の発生に素早く気づくため、遠隔監視システムを適切に活用する
- 万一の事故の際に、現場に駆付け事故報告に対応できるO&M業者を見つけておく
太陽光発電を責任ある長期安定電源とするための取組みの一環であり、売電を続けるには対応する必要がある。
(新エネルギー新聞 2021年2月掲載記事を一部編集)