(新エネルギー新聞 2018年6月掲載記事を一部編集)
先日、ある発電事業者から質問を受けた。
「今、太陽光発電所を作っている最中。施工店から完成図書の話は何も言われていないが、もらった方が良いのか?」。これに対して「もらった方が良い、というより、もらわないとダメ」と回答した。改正FIT法の遵守事項に、「適切なO&Mやること」とあり、そのためには「完成図書は必須」だからだ。
大切なことなので少し長めの引用をするが、事業計画策定ガイドラインで発電事業者がやるべきこととして、「発電設備の設計図書や竣工試験データを含む完成図書を作成するように努めること。
また、完成図書を事業終了時まで、適切な方法で管理及び保存するように努めること。」と明記されている。
(編集者注:2021年4月に、「・・・管理及び保存するよう努めること」から「・・・管理及び保存するこ と」へ改正された)
その解説文では、
「太陽光発電設備の完工後、適切な設計・施工が行われたことを証するためには、完成図書として、設計図や施工記録、完成した設備の竣工試験データ等の書類一式 が必要である。
これらの完成図書が作成されていない場合、事業の開始後に事故などが生じても、その原因を明らかにすることが困難となるおそれがある。
このため、完成図書を作成して、事業終了まで適切に管理・保管し、必要に応じて参照できるようにしておくことが重要である。なお、自ら設計・施工を行わない場合は、設計・施工事業者に対して、完成図書の作成を依頼することが適切である。」
例えば、テレビが壊れた時、その設計図なしに修理はできない、というのと一緒だ。太陽光発電所はすべてカスタムメイドで、設計思想も千差万別。設計図なしに修理できる訳はない。
そうではあるが多くの発電事業者は完成図書の管理に無頓着なのも事実だ。特に低圧発電所では完成図書を保有していない方が普通と言ってもいいぐらいだろう。施工店側の意識も非常に低く、渡すべきものと捉えていないところも少なくないが、本来は「完成図書の引渡しをもって、発電所の引渡し」とするべきだ。
完成図書一覧(主なもの)は以下。手元に保管していなければ、今すぐに施工店に確認してほしい。
- パネル配置図(パネルレイアウト図)
- 土木関連工事内容明記資料
- ストリング配線図(ストリングマップ、アレイ配線図)
- 電気レイアウト図(単線結線図)
- 架台構造図(強度計算等含む)
- パワーコンデイショナー関連資料(取扱説明書含む)
- パネル関連資料(メーカー保証内容が分かるものを含む)
- 契約書内容一式(瑕疵担保責任による補償内容明記のもの)
- 法規関連申請・許可関連書類
- 完成引渡し前検査報告書一式
(新エネルギー新聞 2018年6月掲載記事を一部編集)