(新エネルギー新聞 2017年12月掲載記事を一部編集)
経済産業省・資源エネルギー庁では改正FIT法の周知を図るために全国で説明会を実施している。
2017年4月の施行前後だけでは足りず、秋~冬に掛けて再度開催しているが、「事業計画認定を取得した以上は、遵守事項でチェックしたことはしっかりやるように!」というメッセージが強調されている。参考までに遵守事項を再掲しよう。
【遵守事項】
- 事業計画策定ガイドラインに従って適切に事業を行うこと
- 適切に保守点検及び維持管理すること
- 出力抑制の要請を受けたときは、適切な方法で協力すること
- 標識を掲示すること
- 柵塀等を設置すること
- 関係法令を遵守すること
この中で特に強調されていたのが、「適切に保守点検及び維持管理すること」だ。
今後、真綿で首を締めるように、少しずつ厳しくしていく意向が感じられた。
では、点検内容はどのようなものにしたら良いのだろうか?
『事業計画策定ガイドライン』には、「民間団体が定めるガイドライン等を参考にし、その内容と同等又はそれ以上の内容にすること」とされており、JEMA/JPEAが※2016年に公表した太陽光発電システム保守点検ガイドラインに準拠することを求めている。
※編集者注:2019年12月に改訂版が公表されている。
しかし、点検内容が準拠しているか、していないかの判断は、誰がどのようにするのだろうか?
保守点検ガイドラインの内容をすべて実施することは、コストが高くなり過ぎて現実的ではない。どこまでの内容を行えば、準拠している、と言っても良いものか。
今回、経産省とJPEAに直接、この質問をぶつけて回答を得られたので紹介したい。
経産省の答えは、「準拠しているか、していないかの判断基準は公表していない。また、個別の点検内容が準拠しているか、という判断もしていない」。
JPEAの答えは、「JEMA・JPEA保守点検ガイドラインを精読いただき、独自にご判断下さい」。
まとめると、「準拠しているか、していないかは、自主判断に委ねる」ということ。
極論すれば保守点検ガイドラインの一部でも実施していれば、「準拠していると言っても構わない」ということになる。
そこまでハードルを下げてでも、まずは保守点検をやらせたい、という考えなのかもしれないが、だいぶ曖昧な基準であることは否めない。
ここから言えることは、
- 「準拠している」という点検でも、ピンからキリまである
- 「準拠してます!経産省(もしくはJPEA)のお墨付きです!」というO&M業者は嘘ということ。
発電事業者にとって、なかなか判断が難しいところだが、点検内容を決定する際には準拠していると考える根拠を、しっかり説明できるO&M業者を選ぶことが大切となるだろう。
(新エネルギー新聞 2017年12月掲載記事を一部編集)