(新エネルギー新聞 2015年12月掲載記事を一部編集)
そもそもパネル洗浄はどう考えたら良いだろうか?
通常パネル角度が15度以上あれば、それほど汚れは蓄積しないため「洗浄が必要な案件は多くない」と考えている。
火山灰など特殊な例は別だが、通常はパネル洗浄しても5%も発電量が戻れば良い方だろう。50kWの発電所で年間200万円程度の売電金額とすると、月々の売電金額は20万円もない。この5%が汚れでダウンしたとしても1万円程度。10%でも2万円ぐらい。パネル洗浄しても効果は永続的ではなく、6ヶ月もすれば元の木阿弥になる。
そう考えると、パネル洗浄で戻る損失は、仮に6ヶ月間洗浄効果が持ったとしても、50kWで6万円~12万円程度というところだろう。
それ以下の金額で洗浄できるなら、やった方が良いと言える。極端な話、費用が掛からないなら洗浄した方が良いのは当たり前だ。(ただ、パネルに悪影響を与えない方法で洗浄する必要がある)
ただし、コストが掛かる以上は、そのコストに見合うのか?、は常に考えるべきだろう。
パネル洗浄を否定するわけではないが、コストに効果が見合わない場合も少なくない、と判断している。目視で汚れているように見えても、実はそれほど発電量は落ちていない、ということもある。
正確なところは遠隔監視システムで継続的に発電量を計測し、かつ、発電所の一部を洗浄して、洗浄していないエリアとの比較をする、という手段を取らないと分からない。
総発電量だけしか見られないものだと、発電所の状態を細かく把握できないため、O&Mの観点からは、ある程度発電量を細分化して見られる遠隔監視システムを使うことが望ましいと言える。
(※2021年6月追記 パネル費用が安くなるに連れて、パネル角度を浅くし設置枚数を稼ぐ設計思想も普及した。パネル角度が10度未満などの場合は、汚れが蓄積しやすく洗浄メリットが出やすい発電所が増えている)
(新エネルギー新聞 2015年12月掲載記事を一部編集)