(新エネルギー新聞 2017年11月掲載記事を一部編集)
2017年10月の2度の台風で、パネルが飛散したり、土砂崩れが起きたりと、自然災害による事故が多くの太陽光発電所で発生している。実際、電柱が倒れたり、家の屋根が飛んだりというほどの強風の場合、太陽光発電所だけが無事に済むという訳はない。
自然災害が多い日本に住む宿命として受け止めるしかないだろう。
どうにも避けられないリスクだからこそ、それをカバーするために保険という手段がある。太陽光発電所の20年間の運用を確実にするためには、適切な保険を欠かしてはいけない。万一の災害時に保険に入っていなければ、修繕費用を捻出できず発電事業を継続できなくなるかもしれない。
実際、保険費用を惜しんで契約を解除した直後に、台風でパネルが飛散した、という運の悪い発電所の例もある。ただし保険選びを代理店に任せきりにしてしまうのはお勧めしない。太陽光発電に詳しいところはまだ少なく、発電所運用のリスクを把握していなければ適切な保険を選べないからだ。
以下に典型的なリスクと、それに対応した保険を記すので代理店との交渉時に参考にして頂きたい。
- 「強風でパネルが飛んでしまった!それを直すための保険は?」
→火災保険または動産総合保険の風災補償 - 「強風でパネルが飛んでしまった!売電できない期間の収入をカバーする保険は?」
→利益補償保険 - 「強風でパネルが飛んでしまった!隣りの家を傷付けたのを直すための保険は?」
→整備不良等が原因ならば施設賠償責任保険が適用できるが、整備不良等がなく災害として認定された場合は免責となる可能性が大きい。その場合は、隣の家に掛けてある火災保険の風災補償を使ってもらう
ただし、一見同じようにみえる保険同士でも、内容を詳細に比較すると結構な違いがあることもあるので注意が必要だ。例えば、保証対象外の範囲が広く設定されていたり、免責金額が高めに設定されている、保証内容はほぼ同じだが金額が大きく違う、などだ。
自社の発電所にどのような保険を掛けているか?、想定されるリスクをカバーできているか?、逆に無駄な保険費用を掛けていないか?など、定期的に見直して最適化することもO&M業務の一環と考えるべきだろう。
(新エネルギー新聞 2017年11月掲載記事を一部編集)