(新エネルギー新聞 2020年2月掲載記事を一部編集)
土地の造成に問題がある太陽光発電所は少なくない。大きな崩落を起こして社会問題となる事例ほどではないとしても、水の処理が不適切で洗掘(せんくつ=水の流れで土砂が洗い流されること)を起こしている発電所を結構見かけるのではないだろうか。
土の質や草の生え方、雨の量などにもよるが、法面(のりめん=切土や盛土により作られる人工的な斜面のこと)に発電所を設置する際には十分な注意を払わないと、後で大変な事態を招いてしまう。
そもそも太陽光発電業界は電気主導で進んできたため、土地開発や造成を軽視しがちだ。
造成に費用を掛けたところで発電量が上がる訳はなく、発電事業者自体が「造成に費用を掛けない」ように指示することもある。
しかし洗掘で下流の道路に土砂を含む雨水が流れ出してしまうと、行政指導が入り改善を求められる。一度出来上がったものを改修するのは多大な費用が掛かるし、改修が終わるまで発電所の稼働を止めるとすると大きな損失だ。
仮に外部への悪影響がないとしても、洗掘により基礎周囲の土が流されてしまうと必要な強度が保てない。杭基礎など深く打ち込んだはずのものが、土がなくなってしまえば先端だけでかろうじて支えている状態になってしまう。
そうなれば強度不足から発電所が倒壊するであろうことは誰の目にも明らか。地元住民が心配して、「不適切案件に関する情報提供」につながるだろう。
用心深いEPCは土地を探す段階から法面を避けて、平地にしか発電所を設置しない、というポリシーのところもあるほどだ。
法面設置はできるだけ避け、どうしても設置しなければならないなら、事前に土木のプロに相談した上で適切な対策を取ることが不可欠だ。
では、すでに出来上がっている発電所の場合はどうしたら良いだろうか?
これまでの太陽光業界の知見では膨大な改修費用が前提で、本当に切羽詰まるまでは見て見ぬ振りをすることがほとんどだった。しかし、ここにきて法面工事のプロが「ポリソイル緑化工」という有望な技術を提唱し始めている。
ローコストかつ大きな効果が期待できる「ポリソイル緑化工」に関しては、次回、詳細に説明したい。
(新エネルギー新聞 2020年2月掲載記事を一部編集)