(新エネルギー新聞 2016年2月掲載記事を一部編集)
太陽光発電システムの不具合には、目で見ただけではわからない事例も少なくないが、今回紹介する事例のように目視ではっきり確認できることもある。
これは国産メーカーのモジュールだが、車庫の屋根に設置して1年半後、たまたま発見したものだ。
1枚のモジュールの2箇所に大きなひび割れが入っていて、裏から見るとバックシートが焦げていた。
カラスが上空からモジュールに小石を落として遊ぶ、というイタズラの被害例も多いが、今回もそうだろうか?
状況は、以下の通り。
- ガラスが割れている
- ホットスポット(異常発熱)で焦げている
- 屋根傾斜は8度
- 付近に小石などは落ちていない
3.4.から考えるに、カラスのイタズラは考えにくい。
実は、このような症状の時、「ガラスが割れたからホットスポットが発生した」のか、「ホットスポットが発生したからガラスが割れた」のか、両方の原因が考えられる。
ガラスの一部に明らかな打痕がある場合は前者と考えられるが、明確な打痕がない、打撃を与えた物(小石等)が付近に見当たらない時には、後者の可能性もある。今回の事例は後者ではないかと推測している。
元々インターコネクタのハンダ付けが甘く、ハンダ剥離からホットスポットが発生し、その結果、熱膨張を受けてガラスが割れる、というパターンだ。
この場合には、専用のメンテナンス機器を使えば、ガラスが割れる前でも不具合を発見できる。
異常発熱による火災のリスクを最小にするためにも定期的な点検を実施し、できるだけ早いタイミングで不具合を発見することが大切となる。
(新エネルギー新聞 2016年2月掲載記事を一部編集)