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太陽電池モジュールへの『影』の影響 No.27

太陽電池モジュールへの『影』の影響 No.27

(新エネルギー新聞 2016年2月掲載記事を一部編集)

先日、現地調査を行った発電所は、太陽電池モジュールへの、『影』の影響を全く考慮していませんでした。

太陽電池モジュールにかかる影は、例えそれがわずかであっても、発電量の大幅な低下を招きます。

上の写真は、先日調査に行ってきた発電所です。

建物によって生じる影について、全く配慮することなく設置されており、モジュールの上に影がはっきりとかかっていました。

建物や電柱、フェンスなどが生み出す影は、発電量に甚大な悪影響を及ぼします。

太陽電池モジュールについて、構造をご存知ない方は、影がかかった部分だけ発電しなくなると思いがちですが、実際はそうではありません。

モジュールは、大まかに3つの部位に分けることができ、1つの部位のごく一部分にでも影が掛かっただけでも、その部位全体が発電しなくなります。

つまり、『ごく一部に影がかかるだけで、モジュールの3分の1が発電しなくなる』のです。

本来は、いかに発電ロスを減らすかに注力するべきですが、このような初歩的なミスを犯してしまっているようでは、この発電所を設計・施工した施工店は、『太陽電池モジュールのことを理解していない』と言わざるをえないでしょう。

(影を避けられない場合もありますが、その際は、影に強いCIS系モジュールを使うなどの対策を考えたいところです。)

モジュール上の影が及ぼす悪影響は、発電ロスの問題だけにとどまりません。

継続的に影がかかるとモジュールの故障を引き起こし、最悪の場合、発火する危険性もあります。

発火に至るまでの経緯を簡単に説明すると、以下のようになります。

  • 影がかかった部分が抵抗になる
  • ⇒抵抗が上ることで、電流がバイパスダイオードを迂回する(発電量の低下)
  • ⇒継続的に電流が流れることで、バイパスダイオードが故障する
  • ⇒抵抗が高い部分に無理に電流を流すことで、ホットスポットができる
  • ⇒ホットスポットが悪化すると、最大500℃になることも
  • ⇒落ち葉など燃えやすいものがホットスポットに触れて火災になる

対策としては、できるだけ影がかかる時間を減らすことですが、それが難しい場合は、定期点検を行い、『モジュールの抵抗値が上っていないか』、『ホットスポットの温度が上がっていないか』を管理するしかないでしょう。

そして、危険な状況に陥っていないかどうかの確認を怠らず、必要であればモジュールを交換することが重要になります。

太陽光発電の発電量の異常の原因は、実は遠隔監視システムのデータを解析すれば把握できます。
詳しくは下記URLで紹介しています。

太陽光発電の発電量が少ない?発電量解析で原因の特定方法を解説!

 

(新エネルギー新聞 2016年2月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

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