JOMARE
故障対策

太陽電池モジュールへの『影』の影響 スネールトレールで発電量低下? No.34

太陽電池モジュールへの『影』の影響 スネールトレールで発電量低下? No.34

(新エネルギー新聞 2017年5月掲載記事を一部編集)

スネールトレールは発電量低下の原因になることもあるが…

先日、低圧発電所のオーナーから、「パネルにスネールトレールがはっきり見えるようになってきた。それにより発電量が減少しているような気がする」と相談を受けた。

設置後約3年経っており、遠隔監視システムは発電量を2分割で監視できるタイプ。

「遠隔監視のデータをしっかり解析したわけではないが、どうも、2分割で比較すると差が出ている気がする」とのこと。

スネールトレールが原因の発電量低下は、まだ現場では遭遇したことがないため、貴重な経験ができるかも、と思ったが、残念ながらオーナーの思い過ごしだった。

(某社にて、スネールトレール発生の要因となるマイクロクラックが入ったパネルの加速試験をしたところ、大幅に発電量が下落したパネルもあった。スネールトレールが発生すれば数年以内に発電量が下落する可能性はある。しかし、スネールトレールがあるからと言って、必ずしも発電量が下落するわけではない。)

遠隔監視のデータを、月間総発電量と1日ごとの発電量で解析してみたところ、センサーAとセンサーBのそれぞれの数値には、確かに若干の差はあった。

しかしその差は、プラスマイナス3%程度。センサーAに対して、センサーBの数字は97%~103%程度で明確な差ではない。

また、もう一つ注目したのは、センサーAとセンサーBの差が一定ではない、という点。毎年10月~2月まではセンサーAが97%~98%と下回るが、3月~9月は逆にセンサーAが101%~103%と上回っている。

ある時期だけ見るとどちらかが故障しているように思ってしまいがちだが、このように長期的傾向を把握することで、故障ではなくその発電所の癖であることがわかる。

発電量が継続的にどちらかが10%近く低い、などと偏っているならば故障の可能性が高いが、5%以内の差で、かつ時期により逆転しているならば、その発電所の癖と言っても良いだろう。

パネルの向きやちょっとした影の掛かり方、配線の引き回しなど、同じように作ったつもりでもやはり部位によって違いは出てしまうものだ。

今回は、スネールトレールという目に見える症状に惑わされたのかもしれない。低圧発電所の場合、売電収入金額に限りがあるので、不具合等の発電量への影響と対応に掛かる費用を具体に評価して、計画的に対応時機や方法を検討することが肝要であろう。

(新エネルギー新聞 2017年5月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

発電事業の利益を最大化する新しいO&M

次世代型O&Mについて詳しく
知りたい方はこちら
次世代型O&Mとは

関連記事

他の記事を見る