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太陽電池モジュールへの『影』の影響 1MWあたりのモジュールの故障数は? No.35

太陽電池モジュールへの『影』の影響 1MWあたりのモジュールの故障数は? No.35

8MWの太陽光発電所を所有しているある発電事業者が、「すでに1年以上定期的に点検しているが、今のところ不具合はまったく発生していない」と言い切っていた。
今まで、新エネルギーサポーターで発電所を点検してきた経験で言えば、大小さまざまではあるが、まったく不具合がないなどということはあり得ない。

例えば、雑草が生い茂っていた、樹木が伸びて影が掛かっていた、架台に錆が発生していた、ネジが緩んでいた、配線の取り回しが乱れていた、電圧上昇抑制が発生していた、土砂が流出していた、排水に難があり水たまりができていた、モジュールが汚れていた、モジュールが故障していた、など本当にさまざまな不具合が発生する。

この中で、特に見逃されがちなのが「モジュールの故障」だろう。
目で見るだけでは分からず、専門の点検機器(ソコデスやIVカーブトレーサー、サーモカメラ等)を使用し、専門のスキルがなければ発見できないからだ。

モジュールの故障率について、定量的なデータはまだ持ち合わせていないが、シリコン系モジュールをこれまで点検してきた経験から言えば、「1MW(約4000枚)の発電所で年1回の点検時に数枚の故障モジュールが見つかる」ことが多い。
大まかな傾向としては、やはり安いモジュールほど壊れる枚数が多くなる。

1MW(約4000枚)あたり1年間での故障数は、
優良モジュール=3枚以下
普通のモジュール=4枚~10枚以下
格安モジュール=11枚以上
という感覚だ。(ただし、メーカーによる違い、製造ロットによる違いも甚だしいので、一概には言えない。)

冒頭に紹介した8MWの発電所は、約32000枚のモジュールを搭載している。これだけの枚数をしっかり点検したならば、少なくとも数枚の故障モジュールはあって当然だろう。
「点検しているけど不具合は発生していない」という言葉は、「点検しているつもりだが、精度が低く、不具合を見逃している」と言い換えても良いかもしれない。

(新エネルギー新聞 2016年6月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

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