(新エネルギー新聞 2020年7月掲載記事を一部編集)
太陽光発電所の発電量は、いつか必ず低下する。その際、原因を突き止め対処するが、これまでの経験からいうと原因は3つに大別できる。【設計・施工ミス】、【システムの故障】、【故障以外】だ。
これら3つの原因を明確に区分けすることなく、すべて【障害】の一言で括ってしまうことも多いが、それぞれ症状も違えば対処策も異なるので、しっかり分けて考えた方がわかりやすい。
まず【設計・施工ミス】だが、O&Mの範疇というよりは販売・施工店の責任と言える。ブレーカーやケーブルの選定間違いなど、明白なミスも少なくない。
ただし設計思想によって、特定のタイミングで発電量の低下が生じるミスとは言い切れない場合もある。
例えばパネルを最適角度よりもわざと浅く設置して枚数を稼ぐという設計だ。1枚ずつの発電量は劣るがトータルでは発電量を増やせる。(ただしパネル角度が5度未満だと、雨水で汚れが流れず短期間に発電量を大きく落とす、という弊害があることも分かってきた。)
【設計・施工ミス】による発電量低下が想定される場合は、ミスなのか設計思想なのか、販売・施工店に確認することだ。
【システムの故障】は、パワコンやパネル、集電箱、配線等の故障が主で、電気的点検をすれば発見できる。点検主体のO&Mで発見できるのは主にこの部分。
【故障以外】は、日射不足や雑草による影、電圧上昇抑制などさまざまある。日射不足などは避けようがないが、対処できる(しなければならない)ことも少なくない。
特に雑草による影は、発生頻度も発電量への影響も非常に大きいので十分な注意が必要だ。故障ではないので、電気的点検だけでは見逃してしまうこともある。
【故障以外】が原因の発電量低下を防ぐには、遠隔監視システムによる発電量管理を適切に実施することが欠かせない。
今後、なんらか発電量の低下が起きた場合、何が主な原因か、上の表を参考にしながら検討すると判断しやすいだろう。
※一般社団法人新エネルギーO&M協議会(エナジービジョンが普及推進委員)の【お役立ち資料】でも詳しく解説しているのでそちらも参照してほしい。https://pvom.jp/resources
(新エネルギー新聞 2020年7月掲載記事を一部編集)