(新エネルギー新聞 2019年5月掲載記事を一部編集)
「太陽光発電所の保守・運用を適切に実施しない発電事業者は退場してもらって結構」という国の方針が、より鮮明になってきた。適切な保守・運用を行うには、発電事業者とメンテナンス業者が二人三脚で発電所を管理する必要があるが、メンテナンス業者ならばどこでも良い、というものではない。
今回はメンテナンス業者の選び方を考えてみたい。
まず大項目としては以下の4点を重視したい。
1.発電所に近い 2.誠実で信頼できる 3.専門スキルが高い 4.ビジネススキームが確立している |
1.は言うまでもないが、発電所に近ければ、いざという時にすぐに駆け付け対応ができる。
2.も、パートナーとして長く付き合う以上、欠かせない資質だろう。
3.については、初めに「太陽光発電のメンテナンスは専門技術である」ということをご理解いただきたい。
そして、メンテナンスの基本方針として【太陽光発電システム保守点検ガイドライン(2016年12月28日制定)】に準拠しているか、の確認を行う。中には、ガイドラインを参照せずに組み立てたのか、バランスがおかしな内容となっているところもある。メンテナンスに掛けられるコストは決して大きくはないので、最も有効な使い方をしたい。
専門スキルを測る上では、
・メンテナンス専用機器を保有し、きちんと使いこなせる ・点検報告書が過不足なく分かりやすい ・遠隔監視データを解析できる ・障害対応のスキルが高い |
なども気にしたい。
「メンテナンス機器は何を使っているか?それを使う理由は?」などと、突っ込んで話を聞いてみてほしい。
また、「トラブル時は遠隔監視データをどのように解析し状況を把握するのか?」、「これまでの障害対応でユニークな事例は?」などという質問も良いだろう。
スキルが高いところはさまざまな事例について話してくれるはずだ。
4.については、まだこれから、というところが多いのも事実。
ただし、長い付き合いをするためにも、メンテナンスに本腰を入れているところを選ぶべきだろう。
逆に、メンテナンス業者を選ぶ際にやってはいけないこととして「中途半端な知識での分離発注」を上げておきたい。メンテナンスのパーツごとに安価なところを選んで、複数の業者に分離発注する、というやり方は、よほど太陽光発電に精通した統括者がいないと失敗しがちだ。業者間の連携が取れず責任の押し付け合いになり、身動きが取れなくなってしまう例をよく耳にする。
発電事業成功の近道は、良いメンテナンス業者を選ぶこと、と言っても過言ではない。
(新エネルギー新聞 2019年5月掲載記事を一部編集)