(新エネルギー新聞 2021年9月掲載記事を一部編集)
このところ相談を受けた2つの低圧太陽光発電所で、PCS故障が続けざまに発生していた。
どちらも稼働後5~6年経った発電所で、それまで大きなトラブルはなかったが、突然PCSが止まってしまった。5~6年で故障は早すぎる気もするが、絶対に壊れない機械などありはしないので仕方ない。
発電事業者から「どうしたらいいか?修理はできるか?」と聞かれたが、通常PCSが故障した場合、販売店経由での修理依頼を基本ルールとしているメーカーが多いため、まずは販売店への問い合わせを推奨した。販売店が倒産したなど連絡が取れない場合は、O&M業者経由で対応することもあるが、今回の販売会社は、どちらもよく知られている大手企業で健在だ。
最初の発電事業者は「PCSの延長保証は付けていないので、有償修理になることは覚悟している」と話していたが、念のため、保証関係の書類を見せてもらった。
すると販売店独自の保証書があり、その中で【製品修理保証】に加入していることが判明した。PCSと太陽光パネルが保証対象となっていて、「適切に使用したのに故障や不具合が発生した場合は、無償修理または交換する」と規約に書かれている。
この保証に入っていることを説明しつつ販売店に故障の連絡をしてもらったところ、無事、無償対応となった。ちなみにPCSの修理費用は高くつくことが多く、交換の場合は機種にもよるが1台20万~30万円掛かる。
次の発電事業者は「PCSが1台止まっていて、販売店に連絡したが対応が遅いので修理できないか?」との相談だったが、やはり「販売店経由で修理依頼の基本ルール」を説明しつつ保証関係の書類を見せてもらった。
こちらはPCSと太陽光パネルが同じメーカー製で、メーカーによる【太陽光発電システム10年保証】に加入していることが分かった。
その規約の中に、「弊社で定めた販売店、工事店以外で修理した場合は保証されない」ことが明記されているため、保証に加入していることを連絡しつつ販売店経由での修理対応を急がせることになった。
太陽光発電所に関する保証や保険にはさまざまな種類があり、どのような時にどれが使えるのか?、分かりにくい面はあるが、しっかり把握しておかないと思わぬ大損をしてしまう危険性がある。
O&M業者に相談する際には、保証書や保険証券なども開示した上でアドバイスをもらのが良いだろう。
(新エネルギー新聞 2021年9月掲載記事を一部編集)