(新エネルギー新聞 2016年4月掲載記事を一部編集)
50kW未満の低圧発電所でよく見受けられるのが、交流集合盤の主幹ブレーカーの容量間違いだ。
通常は、系統ブレーカーの総容量よりも主幹ブレーカーの方を大きくしなければならない。
下の写真の主幹ブレーカーは200A(上部中央囲み)。系統ブレーカーは下部囲み部分が40A×6個=240A。後から増設した上部の左右の囲み部分に40Aが2個で、合計320A分を、200Aの主幹ブレーカーに無理やり接続している。
これでは太陽光発電システムが正常に発電した場合、主幹ブレーカーがトリップ(遮断)してしまうだろう。(ただし、この事例の場合、モジュール容量、パワコン容量までは把握していないため、なんらか特殊な理由があるかもしれない。)
では、一般的に49.5kW(定格出力合計、単層パワコン)の低圧発電所の場合、主幹ブレーカーは何アンペアのものを使うべきだろうか?
よく見るのが、コストを下げるためできるだけ小さなものを、と、単純に電流量だけを計算して250Aを付けてしまうパターン。
「太陽光発電がフルに性能を発揮するのは、ごくわずかな時間しかない」と、高をくくっているのかもしれない。
しかし、正しくは300Aを使うべきだろう。
その理由は、『温度が上がると、ブレーカーは早めにトリップ(遮断)する』からだ。
太陽光発電システムがフルに性能を発揮するのは日射が良い時で、ブレーカーもメーカー基準(40℃)よりも温度が上がる可能性が高い。温度が上がれば早めにトリップする、つまり、ブレーカー容量が小さくなるのと同義だ。
一番発電するタイミングで、主幹ブレーカーがトリップ(遮断)してしまうようでは、設計ミスと言われても仕方ないだろう。
また、今後、増加しそうなトラブルとして、「後載せで過積載にしたが、主幹ブレーカーは取り換えず過電流でトリップ(遮断)が多発」。後から過積載にすることが流行っているので、十分に注意したい。
※当時は後からパネル追加することが流行ったが、その後の法改正でメリットがなくなった。
(新エネルギー新聞 2016年4月掲載記事を一部編集)