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故障対策

モジュールの焦げ No.45

モジュールの焦げ No.45

(新エネルギー新聞 2016年3月掲載記事を一部編集)

太陽光発電所を点検していると、太陽電池モジュールの不具合を見つけることが多い。
ただし、見た目が同じような不具合だとしても、原因や途中経過はさまざま。そのため、ひとつの点検手法だけで、すべての不具合を見つけられる、と考えてはいけない。

「これさえ使えばモジュールの不具合は全部発見できる!」と、特定のやり方を過信している向きもあるが、まだそこまで万能のやり方はない。コスト面も含めてどれも一長一短で、適材適所で使い分けることが大切だ。

今回紹介するのも、まさにそのような事例。

バックシートが焦げるほど異常発熱していたが、モジュール故障を容易に発見できるはずのSOKODESで計測した時には、『NG』判定がされず見逃してしまった。その後、サーモカメラでホットスポットを見つけたのだが、なぜSOKODESで発見できなかったのだろうか?

SOKODESの名誉のために急いで付け加えるが、この事例は、IVカーブトレーサーで測っても見つけられなかっただろう。なぜなら、『バックシートは焦げていたが、発電量はほとんど落ちていない』状態だったからだ。

SOKODESで測定しているのは、モジュールの抵抗値で、「メーカーの無償交換対象になるほど発電量が落ちているならば、抵抗値は高くて当然。ある程度以上、抵抗値が高い時にNGと判定」している。

発電量がほとんど落ちていない、ということは、モジュールの抵抗値もそれほど上がっておらず、SOKODESはNGではない、と判定してしまったのだ。

注意して欲しいのは、『バックシートの焦げはSOKODESやIVカーブトレーサーでは見つけられない』ということではなく、『発電量の低下を伴わないバックシートの焦げは、それらでは見つけられない』という違いだ。

結果として、「バックシートの焦げ」という問題が発生していても、原因の違いで、途中経過で発電量が落ちることもあれば落ちないこともある(症状が進めば、最終的には、どんな原因でも発電量は落ちる)。

「発電量が落ちていないければ放置でも良い」という考え方もあるが、安全性の面からは、バックシートが焦げるほど発熱していれば速やかに交換するべきだろう。

そのためには、目視で点検する、サーモカメラで点検する、EL検査をする、などが考えられるが、モジュール枚数が非常に多い場合には、コスト面も考慮すればドローンを使ったサーモ点検も有力な手段となるだろう。

ただし、ドローンによるサーモ点検も万能ではない、という点は重々承知しておきたい。

(新エネルギー新聞 2016年3月掲載記事を一部編集)

  1. 掲載文書は、当協議会の関係者が、それぞれの文責で記述しています。
  2. 掲載文書中では、事例を取り上げて具体の対応に言及していますが、必ずしも原因や事象、対応を掘り下げて網羅的に記述するものではありません。
  3. 掲載文書は、主として低圧発電所を想定して記述しています。記載内容の中には高圧以上の発電所に通用するものもありますが、高圧以上の発電所に当てはめる場合は、法定の安全措置義務等との整合を考慮してください。

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