(新エネルギー新聞 2017年7月掲載記事を一部編集)
産業用太陽光発電所のトラブルが増加している。「設置後、2~3年後ぐらいから増える」と言われるが、2014年以降に設置された多数の発電所が、その時期を迎えている。
最近、漏電が疑われる事例が立て続けに発生した。漏電とは文字通り、電気が漏れることで、本来流れてはいけない部位に電気が流れてしまうことだ。人への感電を招くなど危険性が高いので、漏電を検知して電気を遮断する「漏電ブレーカー」が通常は使われている。
ある低圧発電所で、1ヶ月に3回ほど漏電ブレーカーが作動して発電を止めてしまった。落雷(誘導雷)による影響で誤作動することもよくあり、たまたま最初の2回は近隣の天候も悪かったため、落雷によるものと判断し様子見としてしまった。しかし、1ヶ月に3回目となると尋常ではない。
実は漏電部位の特定は簡単ではない。漏電ブレーカーが回路ごとに入っていれば部位を絞り込みやすいが、発電所の設計仕様によっては、主幹ブレーカーにしか使っていない場合がある。コスト削減を優先して、そのような設計も珍しくない。
今回の発電所も主幹ブレーカーのみに使っていたため、どの部位で漏電が発生しているのか、特定するには丁寧に調査するしかない。
漏電が常に起こっていれば分かりやすいが、ある特定の条件の時だけ起こる、ということも多い。
よくあるのが雨の影響だ。絶縁になんらかの不具合が発生している発電所が濡れることによって、雨水が電気を通してしまい漏電が発生する(絶縁がしっかり取れている発電所ならば雨に濡れても漏電しない)。
しかし、晴れて乾燥すると漏電の症状が治まってしまう、ということがままある。点検に行っても、到着した時点ではすでに乾燥していて部位を特定することが容易ではない。
もちろん手間暇を掛ければ解決できるが、どこまでコストを掛けられるか、という兼ね合いを考えたとき、すべてを精密点検するのは、やはり現実的ではない。
しかし、今回の事例は3回目の発電停止時に、集合盤の内部を開けて点検したところ、まったく予想外のトラブルを発見した。なんと、大量の蟻が入り込み巣を作っていたのだ。
これが漏電の原因である可能性が高く(絶縁・接地抵抗も測定したが問題なし)、まずは蟻の巣の撤去と今後入り込まないようパテで隙間を埋めて様子見と相成った。
(新エネルギー新聞 2017年7月掲載記事を一部編集)